今日は雅治とデートして、そのまま雅治の家に泊まることにした。
雅治は大学生になって独り暮らしを始めたから、こんなことは今までも何度かあった。だから、今更緊張することもなく。私の着替え用の服もあるから、軽くシャワーを浴びた後、コップに水を注ぎ、まるで自分の家のようにテレビを点けた。特に見たい番組は無かったから、チャンネルを変えようともせず、ソファーにもたれて床に座り込んだ。
雅治は私の後に入ったから、しばらくはテレビを見るでもなく、見ないでもなく、考え事をしながらそれを眺めていた。
そこで思い出してしまったのが、ここ最近の倦怠感。
こうやって遊ぶ時間があるんだから、すごく忙しいというわけじゃない。でも、それなりに頑張っているつもりだ。必死というわけじゃないけど。
そんな毎日が何となく気だるい。
たぶん、季節的な軽い鬱の症状だろう。
そうわかっているから、誰かに相談するつもりは無くて。でも、どこかで誰かに頼りたいとも思っていて。
そんなことを考えていたら、雅治が部屋に戻って来た。雅治も冷蔵庫から、何か飲み物を出したらしい音がする。そして、私の後ろのソファーにちゃんと腰掛けたみたいだ。
私はそっちを振り返らず、テレビの方を向いたまま言った。
「真剣に見てるわけじゃないから、チャンネル変えてもいいよー。」
「・・・・・・ん、わかった。」
そう返事したものの、雅治も変えるつもりはないらしく、目の前のテレビは同じ番組を放送し続けていた。
その後、雅治も何も言わず、テレビの音だけが鳴っていた。
結局、雅治を待っていたときと状況が変わらず、思い出してしまった倦怠感が抜けることはなかった。・・・いや、抜けることがなかったから、状況が変わらなかったのだろう。
テレビの音に紛れて、私は小さくため息を吐いた。きっと、床に座り込んでいる私とは違い、ソファーに座っている雅治には聞こえなかっただろう。
と、思ったときだった。頭に何かの重みを感じた。ちょっと驚きながら、後ろを振り返ると、雅治が私の頭に手を置いていた。
私が振り向いたのに気付くと、雅治はこっちを見て微笑み、手を私の頭の上でポンポンと、数回バウンドさせた。そして、またテレビの方を向き、今度はよしよしと私の頭を撫でていた。
「・・・なに?」
「別に。」
そう言った雅治の声は、楽しそうにも聞こえた。
・・・別に、何だと言うんだろうか。『別に何もないけど、そうしたかっただけ』なのか。『別に・・・ちょっといつもと違うと思ったから』なのか。あるいは、その両方?もしくは、全然違うこと?
その答えはわからなかった。だけど、そんなこと、どうでもよくなった。
ただ、何もしないでも、雅治は私の存在を認めてくれた。傍にいることを許してくれた。
そう感じることができたから。
そのおかげで、そんなに気負うこともないかと思えてきて、気持ちが少し楽になった。
「ありがと。」
私もテレビの方に向き直り、そう返した。雅治が「何が?」と、また楽しそうに聞くから、私も同じような調子で、同じ言葉で答えた。
「別に。」
「なんじゃ、それは。」
雅治は呆れたように、でもやっぱり、どこか嬉しそうな声で、そう言った。
先日、学校の友達が「何か、しんどい・・・」と鬱々としていたので、「そんなとき、誰に何て言われたい??」と妄想することを提案したマイミーです(←)。でも、友達も好きキャラに関しての妄想を話してくれたので、一時的には元気になってくれたと思います(笑)。
ちなみに、次の日には元気になってくれていました。よかった、よかった。
で、そのとき、もちろん、私も考えていたわけでして・・・(笑)。その答えが、これでした。
簡単に言うと、「別に」と言われたいですね。あと、頭よしよし&ポンポン。そして、大人な感じがよいなぁ〜と思ったので、社会人設定でした。
特にオチが無くてすみません(←いつものこと/汗)。
('09/04/30)